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COLUMN

Yahoo! JAPAN連載 データ活用 ワークショップ 神戸空港 2019-08-07

【第4回】旅客数記録更新中〜神戸空港を活用せよ

こんにちは!ヤフーデータフォレスト・神戸市担当チームです。

 

今回は、第二回で御紹介した「地域事業者様向け神戸市データアカデミー」の様子をお届けします。

 

ヤフーでは、「神戸市とヤフー株式会社とのデータドリブンな市政課題解決に関する事業連携協定」にもとづいて、データを活用した新しいまちづくりに取り組んでいます。その一環として、自治体職員だけでなく、地域事業者様をも巻き込んでデータ活用について学び、普段会うことのない業種の方々と力をあわせて課題解決に取り組んでみようという企画です。

 

参加者募集チラシ

 

学びの題材に選んだのは「神戸空港」です。神戸空港は開港13周年を迎え、乗降旅客数は300万人を突破。神戸市中心部からたった18分と、国内有数の便利な空港として定着しました。

 

地方路線が好調 神戸空港開港13年目、旅客数最多311万人(神戸新聞NEXT)

神戸空港、規制緩和スタート スカイマークが増便(ひょうご経済+)

 

上記記事によると搭乗率は80%を超え、特に仙台・茨城・長崎・鹿児島といった地方路線の搭乗率が改善し、新幹線など既存の手段を超えた範囲から多くの人が訪れる空の玄関口になっています。さらにこの8月から増便、今後もさらなる増便、新規就航が見込まれています。出張であれ、観光であれ、このように空港利用が拡大することは地域経済に様々な恩恵をもたらすチャンスであるはずです。

 

今回のワークショップでは、データ活用の基礎について座学で学びながら、神戸空港の利用増が神戸市の地域経済振興につながることをめざして、下表のデータを参照分析しつつ、グループワークを行いました。なお、データはすべて個人を特定しない、統計データを利用しています。

 

データ 主な内容 調査期間
1 神戸空港利用実績 路線別・航空会社別の旅客数 H28年4月~H30年12月の月別
2 データこうべ月別各種統計 ポートライナー乗降数 H27〜29年度の年度計、
H29/10月〜H30/9月の月別
3 神戸市観光動向調査報告書 来神者アンケートデータ
(目的、再訪意向など)
H29年度
4 ヤフーデータ 神戸空港利用者の足跡
(どこから来たか、目的地の推定)
H30年11月
5 ヤフー検索キーワード 神戸のイメージ・来訪目的の推定 H30年1〜12月
6 ヤフー路線情報検索数 空港を起点・終点とした路線検索数
(行き先ニーズと集客エリアの推定)
H30年11月

 

参加者は公募によって集められた、神戸空港に就航する航空会社、空港と地域を結ぶバス会社、地域の飲食店グループ、ポートアイランドへの誘致企業、神戸市の職員、ヤフー社員とさまざまなバックグラウンドを持つメンバーが揃いました。この多様性が課題解決にとって非常に重要であり、多様性をもちながら検討する際にデータが重要な共通言語となることを実感する場となりました。

 

 

参加してくださったみなさま

参加してくださったみなさま

 

参加者は3つのチームに分かれ、まずは上のデータによる現状分析で事実を知るところからスタートしました。以下はワークの中で作成されたグラフの一例です。

 

 

図1)Yahoo!路線情報での神戸空港起点の行き先別路線検索数(2018年11月)

Yahoo!路線情報において神戸空港を起点とする検索において、 行き先として指定される駅名

(Yahoo!路線情報:2018年11月)

 

図2)神戸空港利用者の足跡〜県外への拡散状況(2018年11月)

ヤフーデータ「神戸空港利用者の足跡」から作成。

(ヤフーデータ「神戸空港利用者の足跡」:2018年11月)

 

メンバーがこれらデータから見出したことは、下記のようなことです。

 

・神戸空港におりたった来訪者の多くは数時間で県外に移動している
・神戸空港から市外に移動する観光客は、主に大阪・京都・姫路・奈良等を目的にしている
・神戸市内で人気がある観光施設が空港と都心の動線上にない、行きにくい

 

つまり、神戸空港は大阪・京都・奈良に対する新たな観光ルートとして利用者を伸ばしていて、それはポジティブなことだが、神戸の街はその機会を活かしきれていないようだ……ということで認識を一つにしました。

データによる事実を把握した上で、各自フィールドワークとして、身近な友人などで神戸に観光にきたことがある人にヒヤリングし、改善点を探りました。フィールドワークからは以下のような観点(例)を得ました。

 

・空港にチェックインする観光客が、神戸以外の土産袋を持っていることが多いと感じる
・家族旅行において、家族全員のニーズを満たすには複数地域を周遊する必要がある
・神戸観光においては、京都・奈良ほどネット上の情報が有効ではないという意見

 

このような定性的な情報は、データを読み解く上でも解決案のヒントを得る上でも極めて重要です。定量データと合わせて活用することで事象の理解が深まります。

 

そして、二日間の熱い議論の末、3つのチームからの提案がまとまりました!

 


チームApple「いってらしゃい、おかえりをいえる神戸を」

〜空港利用者の限られた時間でも有意義に過ごせるような情報提供とサービスを提供

 「いってらっしゃい」
   →滞在時手荷物預かりサービスの提供
   →短い滞在時間にあわせた飲食優待「ちょいランチ」「ちょい飲み」
 「おかえりなさい」
   →疲れた体に市内のマッサージリラクゼーション優待
   →三宮でチェックイン、手荷物を空港へ運ぶサービス

 


チームBE KOBE「持ち帰ろう!KOBE」

〜神戸空港への動線上に、短時間でできる、神戸らしい体験スポットをつくる

 「動線を意識した観光コンテンツの配置を!」
   →スイーツや肉まん製作体験を現動線上(神戸空港〜三宮駅間)で実施
 「動線を多様に!」
   →シェアサイクルなど空港や途中駅での新しい移動手段を増やし観光スポットへ誘導

 


チームCOBE 「神戸を三都物語の宿場町にする!」

〜「神戸」を宿場とし、周辺都市を含めて「周遊」できる交通網を

 「京都大阪含む広域周遊交通網を!」
   →三宮を起点として、京都・大阪・姫路等を含む周遊バスを運行
 「観光地としての打ち出しを観光者ニーズと神戸のイメージに合致させよう!」
   →強みである医療産業都市からヘルスツーリズムをプッシュ

 


ここで大切なことは、解決案の実現性です。今回のワークショップにおいて非常によかったことは、多様な業種のメンバーが集まったチームで検討できた点です。たとえば飲食優待については航空会社と飲食店グループの関係者が、周遊バスの就航についてはバス会社メンバーが検討チームにいることで実現への道筋が明確になりました。異なる分野の皆様がお互いの強みを持ち寄ることで、議論が活性化し、新たなコラボワークの可能性が広がりました。

 

データにもとづいて、施策につながる議論を

 

今回は限られた時間でのワークショップでしたが、地域の課題を解決にむけて動かしていくためには、実際に施策を打てるプレーヤーが集まり、データを共通言語として認識をあわせ、アイデアを出しあって解決策を練り、実現にむけて動いていけば、大胆な施策を実現していけるのでは、と感じました。

 

今後も、データ分析にとどまらず、こういったデータ活用から具体的な改善につながりうる場を構築することにより、まちづくりがよりよいものになるよう支援していきたいと考えています。